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2010年05月の記事一覧(4ページ中1ページ目)

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「ガメラと舟」

舟とガメラ

[前回の続き]
BAD MANは私を身代わりに取ると、中心海へのルートが示された海図をフック線長に要求し、奪った。
私は線長に悪い事をしたという思いで胸がいっぱいでいた。

(線長、ゴメン)
謝ってすむとは思わなかったが、どうしたらいいのか分からなかった。
「何がだ?」
(自分のせいで、BAD MANに海図取られた。もう中心海に行けなくなった)
「フン、取られただと?笑わせるな」
そう言うと、線長は口の中からさっき渡したはずの海図を取り出した。

(・・・え?)
「海賊を生まれたときからやってる。あんなのは朝起きたら便所に行くくらい当然のことのように起こる。屁でもねー。渡したのはニセモノさ」
線長は不敵に笑うと、口を開け中を見せてくれた。

中にはたくさんのニセの海図が所狭しと並べてあった。
(これが、海賊なんだ・・・)思わず感心してしまった。

(・・・でも、海賊船がないよ)
「小僧は飲み込みがあんまり良くないなぁ。奪われた海賊船もニセモノさ。」
(ど、どういうこと???)
「まぁ、見てな」線長は海に向かって不思議な呼びかけを行なった。

「レーロ!レロレロレーロ!」
・・・・・・・
すると、この呼びかけに呼応するかのように海の遥か沖合いから『ガメラと舟』が上陸して来た。
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「臆病さを投げ出して」

臆病さを投げ出して

[前回の続き]
BAD MANはフック線長の財宝が積まれた海賊船を奪った。
それに怒りを覚えた私は「アームストロングパンチ」を繰り出して対抗した。
だが、BAD MANは砂浜の色に同化し、ヒラメのような変化体になった。
そして、地中にもぐり地中から大きな口を開け私をくわえ込んだ。
私の身柄と引き換えに線長に最高の秘宝が眠るといわれる中心海へのルートが示された海図を渡すよう迫ったのだ。

「線長さぁ、早く海図を渡してください」
BAD MANは口の中で私を飴玉でもしゃぶるようにコロコロと転がした。
(うわぁ、やめろ。助けて線長ー!)
BAD MANの口の中は真暗でたいそう臭かった。

線長は苦虫を噛み潰したような顔でしばらく黙っていたが、口の中からよだれでテラテラと光る海図を取り出すと、「フン、そんなに欲しけりゃくれてやる」とあっさり渡してしまった。
「渡したぞ。さぁ、その小僧を返せ」

BAD MANは海図を受け取ると、入念に調べた。
そして、納得したのだろう、私をその臭い口からつばと一緒に吐き出した。
「これで最高の秘宝は私のものだ。」ニヤリと笑うと、BAD MANは去っていった。

(くー、臭かった)
「小僧!何だ臭いぐらいで。我慢しろ。それより分かったろう?この世界で生きて行くことの大変さが。変化体に、一日でも早く馴染むことだ。そうしないといつまでもあんな目に会ってばかりのままだぞ。」
(うん。わかる。口の中に入っていた時、もうこんな思いは二度とごめんだと心の底から思ったよ)
「わかればいいんだ。しかし、さっきの『臆病さを投げ出して』のパンチは良かったぞ。初めてにしては上出来だ。一発でも当たってたら、アイツもタダじゃ済まなかっただろう」

慰められてホッとしたのか、それともさっきの事が悔しかったのかポロポロと目から涙がこぼれた。
線長に見付からないように目にゴミが入ったと言って涙を拭った。
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「アームストロングパンチ」

アームストロングパンチ

[前回の続き]
森を抜けやっと海にたどり着いた。しかし、そこに海賊船はなかった。海賊船は「BAD MAN」という男が「落ちていたのを、拾ったんです」といって、奪われてしまった。積んであった財宝も全て。

BAD MANはゆうゆうとその場から立ち去ろうとした。
(せ、船長!いいんですか、行ってしまいますよ!)
フック線長はただ苦虫を噛み潰したような顔でBAD MANの立ち去る後姿を見つめていた。

(落ちていたのを拾った?なな何て言い草だ。アイツー、人のものだとわかってるくせに)
私は何だかあのすかしたBAD MANという男を憎らしく思った。このまま黙って行かせたくない。
(ちょっと待ちなよ!)

BAD MANは足を止めて振り返るとニヤリと笑った。
(海賊船はフック線長のものだ。落としたんじゃない、そこに泊めていたんだ。)
「ほう、そうだとしたらどうなんですか?」また、BAD MANはニヤリと笑う。
(だとしたら?・・・返してもらうに決まってるよ)

「ファッハハハハハハ!君、夢でも見てるんじゃないのか?」
BAD MANは大口を開けて笑い出した。
「ここをどこだと思っている?ここは現実じゃない。<ディメイション>だ。思いの強さが全ての世界だ。私は落ちていたと思ったんだ。だからそれが例え落ちていたものじゃなくても、私にとっては、落ちていたものになるんだ。ファッハハハハハハ」

(許せない!)この大笑いする男の顔に嫌と言うほどのパンチを叩き込んでやりたいと思った。
「ま、待て小僧!!」線長は私の異変に気づいて走ってきた。
腕が枝のように複数にわかれ、数十発ものパンチ『アームストロングパンチ』を繰り出していた。

しかし、BAD MANは攻撃を予想していて、パンチから逃げると砂浜の中にもぐり込んだ。
そして、ヒラメのように体を砂浜の色に同化させ姿をわからなくした。
(変化体に反応を起こして隠れた・・・どこ行った?)
次の瞬間、私の足元にBAD MANの目が地を這うように移動してきたと思うや、その大きくなった口で私を丸ごとくわえた。

(ぐわぁっ!)BAD MANは私の体を口の中から出したり引っ込めたりして、もて遊んだ。
しかし、線長は苦虫を噛み潰したような顔で立っているだけだった。

「目的は何だ?海賊船にあった財宝だけじゃないな」突然、線長は言った。
「さすが、フック線長。察しがいい。最高の秘宝が眠ると言われる七つの大海の最後の大海、中心海へのルートが示された海図を手に入れたそうで」
「フン、その小僧と引きかえってんだろう。」
線長の顔はより一層苦虫を噛み潰した顔になった。
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「BAD MAN」

BAD  MAN

[前回の続き]
羽の生えたブーツでフック線長に追いつけたことで、浮ついた気持ちになってしまった。
私の変化体はその気持ちに反応し浮き上がった。また線長は先に行った。

ひっかかっていた木の枝から体を離すと、再び先を目指した。
だが、先ほどのようには思うように進めなかった。
思わぬ変化体の反応に動揺したのだろう、気持ちが乱れて思うようにスピードが出ない。
やっとスピードが出てきたかと思うと、今度は急に減速し前のめりになってゴロゴロと転んだ。

(・・・難しいなぁ)
泥とホコリを払い落としながら、変化体になった自分の体をまじまじと眺めた。
自分のこの体がなんだか怖い。やっぱり、現実に戻って元の体になりたい。そう思った。
しかし、現実に戻るためにはもっとこの体を詳しく知らないと、そして使いこなさないと。

(やるしかないんだ)
気持ちを引き締めまた走り出した。自分の体に翻弄されながらも、負けない、負けてたまるかと必死で自分を鼓舞した。だんだん自分の変化体とうまく行くようになった。前に進んでゆく。

気がつくと、森の中が明るくなっていた。風の中にも潮の香りが混じっている。
(海が近い!海賊船はもうすぐだ。)
森を抜けると急に視界がひらけキラキラと輝く海が目の中に飛び込んできた。

(やったー!)
先に着いていた線長は打ち寄せる波のそばに立っていた。だが、海賊船は見当たらない。
代わりに知らない何者かがいた。それは、『BAD MAN』だった。

「おやおや?」BAD MANは近づく私を一瞥すると、ニヤリと笑った。
「お前、ここに泊めてあったオラ様の海賊船をどこにやったと聞いているんだ」
線長はBAD MANに掴みかからんばかりの勢いだ。

(・・・どうしたの、線長?)
「ここに泊めていたはずの海賊船がどこにもないんだ。オラ様のお宝が積んであったんだぞ」
「お宝というのはこういうものですか?」
BAD MANは懐から金色に輝く鎖につながれた時計を取り出した。

「き、貴様ー!それはオラ様の・・・」
「拾ったんですよ。海の底に沈めて誰にも見つからないように隠してあった海賊船の中でね」
BAD MANは取り出した金時計を線長の目の前でまた大事そうにしまった。
「今日はいい拾い物をしましたよ。なんたって誰かが落としたお宝満載の海賊船だもの。」
BAD MANはそのままその場を後にしようとした。
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「あなたを見守るものと、脅かすもの」

あなたを見守るものと、脅かすもの

[前回の続き]
海賊船へ向かった線長を追いかけようとしたが、思うように変化体に反応を起こせなかった。
その時、羽が生えたブーツのイメージが閃き私の両足に羽が生え、ブーツの形になった。

やっと変化体の反応のヒントがつかめた。ウソやあまり気の進まない思いには反応しないようだ。
自分にジャストフィットする、そういう思いの場合だと変化体はすごい反応を示す。

(何だか足が軽い。まるで、浮いているようだ。)
羽の生えたブーツでちょっと地面を蹴ってみた。
(な、何だ??)
何が起こったのか?と、辺りを見渡すと後方にさっき自分が寝ていた場所があった。
(・・・まさか!)
そのまさかだった。このブーツで軽く蹴っただけで、あっという間にはるか前に進んでいたのだ。

(何だ、これ!!!)
興奮してしまった。冷静になるのを待って軽く走ってみることにした。
すると、森の木々が残像になって後方に消えてゆく。
早送りのように次々に見える景色が変わる。

(す、すごいやコレ!!)
まるで自分の体が突風になって森の中を吹きぬけてゆくような感じだ。
しばらくすると、前方に土煙を巻き上げて進むフック線長の姿が見えた。

すぐに線長の横に並んだ。
線長は私を二度見した。海賊である線長の驚く顔は傑作だった。
「小僧ー、やるじゃねーか。もうちっと手を抜いてやろうかと今思っていたとこだが、」
と、線長はグンとさらにスピードを上げ先に行ってしまった。
しかし、こっちも負けずに加速するとまた追いついてしまった。

(線長ー、バテバテですか?先行っちゃいますよ?)
「はぁ、はぁ、少しオラ様より速いからって小僧、いい気になるなよ。」
(いい気になんてなってませんよ)線長を追い越して、先に出ようとした。

だが、変化体は正直だ。得意な気持ちに反応し体が宙に浮き上がってしまった。
そして、木の枝に引っかかり前に進めなくなってしまった。

「小僧!変化体は『あなたを見守るものと、脅かすもの』であることを忘れるな。そんな浮ついた気持ちになれば、今度はお前自身を脅かすぞ。」
また、線長は先に行ってしまった。





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「お休みなさい」

「お休みなさい」


[前回の続き]
変化体の傷の治りは早かった。治りたいという思いに反応し、少しの間で傷は完治していた。
だが、(海賊船へ早く行きたい)という思いには全然反応しない。心底思ってないからだろう。
そんな私を残してフック線長はエリマキトカゲの姿になって、一足早く海賊船へと向かったのだ。

(どうして、何の反応もないんだろう?)
私の変化体は相変わらず、白熱した光の変化体のままだ。
きちんと(海賊船へ早く行きたい)と思ったはずだ。だが、自分にウソをついたのかも知れない。
本当はもっとここでゆっくり休んでいたかった。傷は治ったけど、心が何だか疲れていた。、変化体がどうの、思いの強さとか質とか、おまけに現実に戻れるタイムリミットが一年だ。

(一体なぜ、自分だけがこんな目にあわなくちゃならないんだ?)
ふと考えてみると、ぶつけようのない怒りが湧いて来た。
(もうどうでもいいよ。早く家に帰って眠りたい。線長なんてエリマキトカゲでも何でもなって勝手に行ってればいいのさ。知ったこっちゃないさ。)

(『お休みなさい』)
私は横になると、深い眠りの中へ落ちて行った。そして、不思議な夢を見た。


「君は誰?」
(?私は私だけど・・・君こそ誰さ?)
「線長に初めて会ったとき、足がブルブル震えたのは君なの?」
(あの時は、怖かったんで震えただけさ)
「でも君はあの時、自分の足の震えを止めようと思ったんじゃないの?」
(ああ・・・そういえば、そうかもしれない)
「君がそう思ったのに震えは止まらなかった。まるでもう一人、別の君がいるようだね。」
(私は一人だよ。ほかの私なんている訳ないよ。それより君こそ誰さ?どうしてここに居るの?)
「変化体に反応を起こさせるには、君は僕を無視できないよ」


変な夢を見てすぐに起きてしまった。
少し眠っただけなのだが、おどろくほど元気が出てきた。

(悔やんでみても仕方ない。よーし、線長を追いかけるとするか)  
大きく背伸びをすると、再びやる気になって線長のマネをしてみようとした。
エリマキトカゲになろうと構えたがダメだった。

(なんだかエリマキトカゲって・・・あんまりなりたくないなぁ・・・)
あまり好きじゃものにはなれないのかも知れない、と思った。
その時突然、羽の生えたブーツのイメージが閃いた。
すると、私の両足に羽が生えて、ブーツの形になった。
(そうか、そういうことか!)




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「No One」

No One

[前回の続き]
海賊船に向かう途中、疲れてきたので休みをとった。線長は私に現実に戻りたいなら力になると言ってくれた。ただし、それにはタイムリミットがあるという。

「現実に戻るかどうかは今決めなくてもいいが、一年だ。一年以内に現実に戻るかどうか決めないと、もう二度と現実には戻れなくなる。」

(一年?)
この世界から現実に戻れることがわかって正直ホッとしたが、タイムリミットがあるというのは残念なことだった。
せっかく光の変化体になれたし、もっとこの世界にいて知りたいことがあったからだ。

「この世界に来て一年経てば、体が細胞の遺伝子レベルから変化体に入れ替わってしまう。そうすると、現実に戻るための肉体を完全に失ってしまうことになるんだ。」

(つまり、一年経てばもう二度と元の世界にも元の肉体にも戻れないと言うこと?)
(何てことだ。まさかそんなことだったとは。戻りたい。今すぐ、現実に戻りたい。)

「慌てるな。まだ今のお前には無理だ。変化体のことについて知らなさ過ぎる。それよりも、体の傷はもうそろそろ治ったんじゃないのか?」

(え?・・・)
ビックリした。血がにじむヒザの擦り傷はない。無数にあった黒ずんだ打撲の跡も消えている。触ってみても叩いてみても何ともない。

「そんなに驚くことじゃない。変化体にしてみれば朝飯前だ。ただ、思いに反応して早く治っただけのことだ。それじゃ、海賊船へまた出発といこう」
線長は広げていた海図をクルクルと丸めると、口を大きく開けてその中にしまった。そして、
「どうにかして、早く行けるといいんだがなぁー」
と言うと、私を見てニヤリとした。

何とも嫌らしい線長の含むところを察して、しかたなく(早く海賊船に行きたい)と思ってみた。
しかし、私の変化体は何の反応も示さなかった。

「小僧!うわべだけでやるからだ。『No One』誰も自分に嘘をつくことは出来ない。本当に思わないことを、思うから出来ないんだ。よく覚えておけ!」
線長は巨大なエリマキトカゲのような姿になると、ピヤァーと土煙を残して海賊船のある方へ消えた。
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「今の私」

今の私

[前回の続き]
<ディメイション>で変化した体を変化体といい、変化体はその人の思いに反応し変化する。
しかし、変化には限界があり思いのままに何にでも変化できるわけではない。
思いの強さと質によるのだ。質は努力ではどうにもならないものであるらしい。フック線長はそれを才能と言った。

森の中をひたすら歩く。線長の海賊船はまだ遠そうだ。森の闇が続く。その中で私の光の変化体は白熱して森の闇を照らす。小さな虫がたくさん集まってくる。

(線長、あとどれくらい歩くんですか?)
口の中に入った虫を吐き出しながら聞いてみた。もう歩くのにうんざりして来た。

「まだだな。明るくなる頃には着くと思うが、まだ時間がある。うん?何だ疲れたのか」
振り返った線長の口にちょうど虫が飛び込んだ。線長は口をモグモグさせそのまま飲み込んだ。

(う、うん。疲れたよ)
線長は私の擦りむけて血がにじむヒザや体のあっちこっちにある多くの打撲の跡を見て、少し休むことにしてくれた。

「ところで、小僧はどうしてここに来たんだ?」
線長はしばらく海図を広げて見ていたが、突然たずねてきた。
私はこれまでのことを手短に話した。

「じゃあ、小僧は自分の名前も現実にいた頃のことも何にもわからねーのか。そりゃ、傑作だな。現実に戻りたいのかもわからねー。ワァハハハハハ。」

(大笑いすることじゃありませんよ。人事だと思って。線長だってヘンですよ。さっき虫食べてたでしょう?どこのどんな虫だかわからないのに。)

「ワァハハハハハ、オラ様はもうここに来て長いんだ。ベテランさ。ここのことは大体わかってる。ありゃ食べると甘くて美味いぞ。それよりも小僧、これからどうするつもりだ?現実に戻りたいってんなら力になってもいいんだが・・・」

(・・・現実に戻る・・・出来るの?)

「ああ、方法が無いってワケじゃねーんだ。ただし、それにはタイムリミットがある。どうする?」

(どうしよう・・・)
『今の私』はもっとこの世界にいたいような気がした。
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「コラボ」

コラボ

[前回の続き]
海図にある六つの航路を光の<ディメイション>でなぞった。すると、海図にそれぞれの潮の流れが輝きながらあれわれ、一箇所で交わった。それが、中心海だった。

フック線長は中心海へ行くため私を連れ、いそいそと森を後にして近くの海岸に泊めてあるという海賊船へ向かった。
その道中線長は、<ディメイション>の変化をした体のことについて教えてくれた。

「いいか、貴様のその体はもう現実にいた頃の肉体とは違う。別物だ。区別するためにこの世界では、変化体と言っている。」

(変化体?)

「そうだ。オラ様が森でチロチロと口から火を出したのを覚えているか?」

(ああ、うん)
暗くなった森でたき火をしようとして困っていたら、線長が口から火を出したのを思い出した。

「現実の肉体ではそういう事は出来ない。が、変化体になれば自分の思いに変化体が応えてくれるようになる。つまり、火が欲しいと思えば火を吐くように変化体が反応するし、暗くて光が欲しいと思えば変化体は光を放つようになる。」

前から感づいていたことだが、やっぱり線長は自分の目的である中心海に行くためにわざとキツイ言葉を投げかけ私を森の暗闇の中に引っ張り込んだんだ。そして、暗闇の中で私を一人にして光の変化体になるのを待ったんだ。
(なんてひでえオジサンだ。自分が光の変化体になれば済むことじゃないか)

「それが出来れば、小僧なんぞに用はねーや。変化体にも限界がある。オラ様がいくら暗闇の中で光が欲しいと思っても、火か炎にしかならない。光にはなれねーんだ。」

(うーん・・・)そのまま信じていいものかどうか迷ってしまう。

「変化体が反応するのは、思いの強さとその質の『コラボ』によるんだ。強さはどうにかなるんだが、質ってのは努力してもなかなか出来ないもので、・・・才能と言っていいかもしれん。オラ様の思いには光の質がないんだろう。」

(強さと質・・・才能・・・)
わかるような、わからないような・・・頭の中がいっぱいになって、あふれそうになってきた。
[次回に続く]



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「流れをたどると」

流れをたどると

[前回の続き]
フック線長のたくらみにより森の奥へと進み、闇の中で一人置いてけぼりをくう。
窮地に立たされたことで、ついに自分の体が本格的な<ディメイション>の変化を起こした。

(この体は一体どうなってしまったんだ?)
燃えるように熱くなった体は、小刻みに震えながら白い光を闇の中に放つ。

「やはりオラ様の目にくるいはなかった。森の中を歩く貴様の姿を見たとき、<ディメイション>の変化はまだだったが、光の粒子がチラついていたんだ。」
線長の以前の厳しい態度は一変していた。余程嬉しいのだろう飛び跳ねるように踊り出すと
「さぁ、これで七つの大海の最後、中心海はオラ様のものだ!!」と叫び、口の中から古ぼけた一枚の海図を出した。

(汚いなぁ、何ですかそれ?)海図は線長のよだれがついていて光っているのだ。
「ふん、小僧にはわからんだろう。オラ様たち海賊団は最高の秘宝をもとめて現実からこの世界にまでやってきた。そして、この世界の七つの大海の伝説を知った。中心海を除く六つの大海、前海、後海、上海、下海、左海、右海を渡り切ったそれぞれの航路を海図に記すと、最高の秘宝が眠るという最後の中心海へ行けるのだが、それではまだ足りないんだ」

(それより、この体はどうしてくれるんですか?)
線長のお宝の話より、自分の体のことが気になった。体は相変わらず白熱を続けて熱い。

「うるさい。貴様はそれでいいんだ。わからんヤツだ。まったく。いつまで<ディメイション>の中でそのままでいるつもりだ?貴様なんぞオラ様が本気でやれば、アッという間にやられるぞ。」
(・・・)何も言い返せなかった。線長の話は続く

「足りないもの、それは七つの大海を輝ける七つの大海に変化させることなんだ。六つの大海の潮の流れが集まる中心に中心海が在る。しかし、潮の流れは透明で誰にも見えないんだ。そこでだ、この海図に記された六つの航路を光の<ディメイション>でなぞると、」と、線長は私の光る指をとり海図に記された六つの航路を一つ一つ丁寧になぞり始めた。

(何をするんだよ)指を離そうとした。
その時突然、一本の大きな潮の流れが輝きながら目の前を走った。
次々に大きな六つの潮の流れがあらわれ、その『流れをたどると』一箇所に集まる所が見えた。
それが、中心海だった。

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