
「全てはここから」に飲み込まれて、現実からこの世界<ディメイション>にやって来た。
そのために記憶を失くし自分がどこの誰なのかわからなくなった。
<ディメイション>では、現実の肉体はゆっくりとではあるが変化してゆく。何になるかは誰にもわからない。
この世界<ディメイション>を高い所から見ようと「上へ、上へ」向かおうとしたら、体がふわりふわりと浮き上がった。
(えっ??)
浮き上がった体はそのまま空へ舞い上がってゆき、パニックになった。
空の上は乱気流で風が強く、よこなぐりの雨も降っていた。
風船のように体はその中に吸い込まれてゆく。
乱気流に入った途端、手足がゴムのようにあっちにもこっちにも引っ張られ、千切れそうになった。
痛みで気を失ったのだろう。
・・・気がつくと、穏やかな雲の中を漂っていて・・・
そばに「風と雨にうたれる女」がいた。