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「心の中を上方へ突き上げ、昇華してゆくもの」

心の中を上方へ突き上げ、昇華してゆくもの

[前回の続き]
フック線長に臆病者と言われて悔しかったので、その後を追って森の暗闇の中へ入った。
森の中は何も見えない。線長の体からは海の香りがした。その匂いを追って進む。
ガサガサと草むらを進む自分の足音やハァハァという呼吸音の他は何も聞こえない。

行けども行けども線長は止まる気配はしない。どんどん森の奥へ、奥へと進む。
足があちこち痛む。体も疲れて悲鳴をあげそう。こんな真っ暗な森の奥で一人置いてけぼりになるのは怖い。
線長を呼んで助けを求めようかどうしようか迷っていると、いつの間にか線長の匂いがその気配と共に消えていた。

(線長ーーー!)
大声で呼んでみたが、何の反応もない。目を凝らしても、闇しか見えない。

(自分がボーっとしているうちに、先に行ってしまったのかもしれない)
走り出していた。必死に線長の後を追った。
何かにつまづいて激しく転倒してヒザをおもいっきり擦りむいた。それでも、前に進んだ。
大きな木に正面からぶつかって、頭を強打し星が見えた。
ぬぐってもぬぐっても自分の情けなさと痛みで涙があふれてくる。

突然、自分の「心の中を上方へ突き上げ、消化してゆくもの」を心の中で感じた。
すると、自分の体が真っ暗な闇の中で微弱ながらも光を放ち始めた。
光はだんだん強くなってゆく。体が焼けるように熱い。
立っていることが出来なくて、近くの木にもたれ掛かった。
その木は白熱してイルミネーションのように輝き、辺りを明るく照らし出した。

「やったな小僧!それはお前の<ディメイション>の変化だ。」
近くで見ていたのだろう、線長が小躍りしながら姿を現した。
「これでオラ様は、七つの大海の最後の海を手にすることが出来るかもしれない」



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