
[前回の続き]
フック線長のたくらみにより森の奥へと進み、闇の中で一人置いてけぼりをくう。
窮地に立たされたことで、ついに自分の体が本格的な<ディメイション>の変化を起こした。
(この体は一体どうなってしまったんだ?)
燃えるように熱くなった体は、小刻みに震えながら白い光を闇の中に放つ。
「やはりオラ様の目にくるいはなかった。森の中を歩く貴様の姿を見たとき、<ディメイション>の変化はまだだったが、光の粒子がチラついていたんだ。」
線長の以前の厳しい態度は一変していた。余程嬉しいのだろう飛び跳ねるように踊り出すと
「さぁ、これで七つの大海の最後、中心海はオラ様のものだ!!」と叫び、口の中から古ぼけた一枚の海図を出した。
(汚いなぁ、何ですかそれ?)海図は線長のよだれがついていて光っているのだ。
「ふん、小僧にはわからんだろう。オラ様たち海賊団は最高の秘宝をもとめて現実からこの世界にまでやってきた。そして、この世界の七つの大海の伝説を知った。中心海を除く六つの大海、前海、後海、上海、下海、左海、右海を渡り切ったそれぞれの航路を海図に記すと、最高の秘宝が眠るという最後の中心海へ行けるのだが、それではまだ足りないんだ」
(それより、この体はどうしてくれるんですか?)
線長のお宝の話より、自分の体のことが気になった。体は相変わらず白熱を続けて熱い。
「うるさい。貴様はそれでいいんだ。わからんヤツだ。まったく。いつまで<ディメイション>の中でそのままでいるつもりだ?貴様なんぞオラ様が本気でやれば、アッという間にやられるぞ。」
(・・・)何も言い返せなかった。線長の話は続く
「足りないもの、それは七つの大海を輝ける七つの大海に変化させることなんだ。六つの大海の潮の流れが集まる中心に中心海が在る。しかし、潮の流れは透明で誰にも見えないんだ。そこでだ、この海図に記された六つの航路を光の<ディメイション>でなぞると、」と、線長は私の光る指をとり海図に記された六つの航路を一つ一つ丁寧になぞり始めた。
(何をするんだよ)指を離そうとした。
その時突然、一本の大きな潮の流れが輝きながら目の前を走った。
次々に大きな六つの潮の流れがあらわれ、その『流れをたどると』一箇所に集まる所が見えた。
それが、中心海だった。