ホーム » 未分類 » 「アームストロングパンチ」

「アームストロングパンチ」

アームストロングパンチ

[前回の続き]
森を抜けやっと海にたどり着いた。しかし、そこに海賊船はなかった。海賊船は「BAD MAN」という男が「落ちていたのを、拾ったんです」といって、奪われてしまった。積んであった財宝も全て。

BAD MANはゆうゆうとその場から立ち去ろうとした。
(せ、船長!いいんですか、行ってしまいますよ!)
フック線長はただ苦虫を噛み潰したような顔でBAD MANの立ち去る後姿を見つめていた。

(落ちていたのを拾った?なな何て言い草だ。アイツー、人のものだとわかってるくせに)
私は何だかあのすかしたBAD MANという男を憎らしく思った。このまま黙って行かせたくない。
(ちょっと待ちなよ!)

BAD MANは足を止めて振り返るとニヤリと笑った。
(海賊船はフック線長のものだ。落としたんじゃない、そこに泊めていたんだ。)
「ほう、そうだとしたらどうなんですか?」また、BAD MANはニヤリと笑う。
(だとしたら?・・・返してもらうに決まってるよ)

「ファッハハハハハハ!君、夢でも見てるんじゃないのか?」
BAD MANは大口を開けて笑い出した。
「ここをどこだと思っている?ここは現実じゃない。<ディメイション>だ。思いの強さが全ての世界だ。私は落ちていたと思ったんだ。だからそれが例え落ちていたものじゃなくても、私にとっては、落ちていたものになるんだ。ファッハハハハハハ」

(許せない!)この大笑いする男の顔に嫌と言うほどのパンチを叩き込んでやりたいと思った。
「ま、待て小僧!!」線長は私の異変に気づいて走ってきた。
腕が枝のように複数にわかれ、数十発ものパンチ『アームストロングパンチ』を繰り出していた。

しかし、BAD MANは攻撃を予想していて、パンチから逃げると砂浜の中にもぐり込んだ。
そして、ヒラメのように体を砂浜の色に同化させ姿をわからなくした。
(変化体に反応を起こして隠れた・・・どこ行った?)
次の瞬間、私の足元にBAD MANの目が地を這うように移動してきたと思うや、その大きくなった口で私を丸ごとくわえた。

(ぐわぁっ!)BAD MANは私の体を口の中から出したり引っ込めたりして、もて遊んだ。
しかし、線長は苦虫を噛み潰したような顔で立っているだけだった。

「目的は何だ?海賊船にあった財宝だけじゃないな」突然、線長は言った。
「さすが、フック線長。察しがいい。最高の秘宝が眠ると言われる七つの大海の最後の大海、中心海へのルートが示された海図を手に入れたそうで」
「フン、その小僧と引きかえってんだろう。」
線長の顔はより一層苦虫を噛み潰した顔になった。
タグ /

コメント一覧

コメントを投稿する

サイト管理者にのみ通知する

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

Return to page top