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「ジャンプ」

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[前回の続き]
BAD MANが奪っていった海図も海賊船も実はニセモノだった。
本物の海図は線長の口の中に隠してあり、今度は海賊船を呼び寄せた。
すると、「ガメラと舟」が海の沖合いから目の前に現れた。

(な、何だこれ!?)
大きな亀のようだが、亀にしてはクジラみたいにデカイ!
「こいつはオラ様の乗る本物の海賊船、ガメラさ。こいつ現実からやってきた時、まだ小さい亀でいろいろなヤツにいじめられてたんだ。それを助けて飼ってたら、ここまで立派になって恩返しのつもりか、オラ様の海賊船になってくれたのさ。」

ガメラはその大きい目玉をギョロリと私の方に動かした。
そのいかつい姿からは、とてもそんな律儀な亀には見えなかった。

「まわりの舟は財宝が積まれたニセの海賊船。つまり、さっきの様な時に備えてカモフラージュのためのものだ。」
(財宝が積まれたニセの海賊船?・・・)

「ワァハハハハハハ。小僧やさっきのBAD MANにとっては財宝が宝だと思うだろうが、オラ様は海賊を長い間やっているから分かるんだ。財宝なんて本当の宝じゃない。いずれは飽きてしまう。本当の宝はまだ誰も見たことのない、中心海のどこかにある」

(・・・ふーん)
「小僧もいつかわかる時が来るさ」
線長は変化体に反応を起こして高く『ジャンプ』すると、ガメラの頭の上に飛び乗った。
私も羽の生えたブーツで『ジャンプ』して後に続いて乗ろうとした。

「ダメだ。小僧はまだ変化体に慣れてないから、船酔いでつぶれてしまう。泳ぐんだ」
頭上から線長の声がした。
「現実に戻るんだろう?それなら、早く変化体に慣れろ。楽していると変化体を使いこなせないままあっという間に一年経って現実に戻れなくなるぞ。」
(そ、そんなーー!)
「さぁ、早く海に入って体を変化させろ。グズグズしてると置いて行ってちまうぞ」
(鬼だ!鬼!この世界に在ってはいけない鬼だ!)

鬼線長をのろう言葉をブツブツと呟きながら冷たい海の中に身を沈めた。
(くー、鬼め!今に見てろ。変化体を使いこなしてヒョヒョイのヒョイでやっつけてやる。そして、今度は自分がガメラに乗ってあの鬼をスパルタで徹底的に鍛えてやるんだ。フフフ)
最初冷たかったのが段々感じなくなってきた。
「何を海の中で笑ってる?そのまま何の変化もさせないのなら、先に行くぞ」

線長の乗ったガメラは岸から離れ、海岸線に沿って泳ぎだした。
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