
[前回の続き]
オールナイトマンボーダンスに突如、通称海のギャングと呼ばれる組織の一味「海の中にひそむものたち」が乱入してきた。
そして、謎の言葉「スキャニングシステム」のことを知っているものを連れて来い、とマンボーたちに命じるのだった。
マンボーたちの仲間の一匹は見せしめのため重症を負わされ、瀕死の状態にある。
業を煮やした奴らは、マンボーたちに襲い掛かる。その時、リリーが奴らの前に自分が「スキャニングシステム」を知っていると名乗り出たのである。
リリーの頬をつたう涙はキラキラと輝いていた。
(リリー・・・)
リリーの悲しみに濡れる姿を見るのは辛かった。
「知っているものが現れたか。どれ?」
ひと回り大きい貝殻の中から、ネバネバした粘液と共にボスが顔を出した。
それは、『カタツムリ』だった。
「ボス!間違いありませんぜ。コイツの涙を見て下さい」
奴らの手下の一人がリリーを指して言うと、ボスはその方へヌーッと首を伸ばしネバネバした顔を寄せた。
「キャッ!」ボスの粘液がリリーの体にかかり、ネバネバとまとわり着く。
「騒ぐな!」手下がリリーのセクシーなくちびるを荒々しく手で押さえつけて塞ぐ。
(モゴモゴー!!)
「お前か、光の遺伝子を受け継いだというものは?どれどれ・・・。ほほー、確かにコイツに間違いない。」
ボスは無神経にもそのネバネバした粘液をリリーにかけながら、顔を寄せて輝く涙を見つめる。
(あんまりだ。リリーがかわいそすぎる)
何も反抗できずに耐えているリリーの姿を見ていられなくて、目を伏せた。
(何とかして、変化体に反応を起こせれば・・・)
だが、相変わらずマンボーのままでいる自分が情けなかった。
顔を離したボスは凄みのある声でリリーに尋ねてきた。
「スキャニングシステムについて何を知っている?知っていることを全部話してもらおう」
それに続けて、口を塞いでいた手下が横から付け足した。
「だがなぁ、俺様たちにウソついたりしたら、オメーはもちろん、てめーらみんなあの世行きだからなぁー!覚悟しとけよ」
威嚇するように2,3度ギュルギュルと貝殻を回転して見せた。
そして、やっと塞いでいた手をリリーの口から下ろした。
怯えるリリーのくちびるは血の気が引いて小刻みに震えていた。
だが、リリーはしばらくあふれてくる涙をぬぐうと、意を決したように話し始めた。