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「プロトコルランデブー」

プロトコルランデブー

[前回の続き]

「マンボーの群れのリーダーだったパパは群れが危機に陥ったとき、不思議な光を操って、何度もみんなを危機から救ったの。みんなはパパをとても頼りにしていた。パパは『光の遺伝子のお陰さ』と言っていたわ。
でも、パパが歳をとるとみんな離れていった。そして、パパは一人寂しく亡くなる時を迎えたの。
私はただ、息も絶え絶えになったパパに寄り添って、その手を握りしめることしかできなかった。
すると、徐々に弱っていくパパの体から光り輝く文様が入墨のように浮き出てきたの。
そして、パパは握りしめる私の手を見つめて『苦しみを分かち合おうとするその思いこそが、スキャニングシステムの鍵なんだ。光の遺伝子の継承のシステム、それがスキャニングシステム。先祖から代々受け継がれてきた光の遺伝子は今、お前を後継者と認めたようだ。』
すると、
パパの体に現れていた光り輝く文様がパパの手から私の手を通じて私の体に入ってきたの。そして、部屋中が一瞬強烈な光に満たされた時、パパは息を引き取っていて、光の文様がパパの体から私の体に受け継がれていたの」

黙って耳を傾けていたボスは
「なるほど。だいぶ読めてきた。なんのとりえもないお前たちマンボーがどうしてこの厳しい世界で滅びることなく、生き長らえてこれたのか。
つまり、先祖から受け継がれている光の遺伝子のお陰ということ。その力により、絶滅の危機を幾度も乗り越えてきた。
なるほど、あの方の言われた通りだ。光の遺伝子を持つ生物は不思議な力で守られ、決して滅びることはない。
逆に、滅ぼそうとする者こそ滅ぼされる。
だが、我々はその不思議な力を宿す光の遺伝子が何としても欲しい」

ボスは手下に命じて、リリーの周りを取り囲んだ。
「知っていることは全部話したわ」
「言い忘れていた。お前の光の遺伝子を頂くことを」

手下たちは貝殻をギュルギュルと回転させ始め、逃げるリリーを追い回した。
「光の遺伝子の継承のシステム、スキャニングシステムがある限り、我々が光の遺伝子を手にすることは絶対に不可能だ」
そして、体を貝殻の中にもぐらせたボスは、中から一枚の紙を取り出してきた。
「だが、この『プロトコルランデブー』を使えば不可能は可能となる」
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