
[前回の続き]
海の中にひそむものたちに傷つけられたことで、リリーの体内に宿る光の遺伝子がついに発動した。
リリーの肌に光の文様がくっきりと浮かび輝く。
光の文様から発せられた大量の光が、海の中にひそむものたちの一匹を包み消滅させた。
「何事だ?」
貝殻の中に引っ込んでいたボスが、外の異変に気付いて顔をのぞかせた。
「ボス!!た、大変です。あのマンボーの体に光の文様が浮き出てきたと思ったら、次々に仲間が光に包まれて殺られてゆきます」
リリーの周りを取り囲んだいた手下たちは、リリーの肌に浮き出た光の文様から発せられる大量の光に包まれて行く。
「何だ?この光は、う、う、う」
光に包まれた手下たちの体から影が消えてゆく。
すると、その体はミクロ微粒子の淡いシャドーとなって粉々に砕け散り消滅する。
「ここまでとは、・・・」
光の遺伝子の力をはじめて目にしたボスは、そのあまりの凄さに圧倒されていた。
「あれが、光の遺伝子の力・・・」
リリーの周りを取り囲んでいた海の中にひそむものたちは、恐れをなして我先にと逃げ出した。
それを見届けると、リリーは奴らに見せしめのために重症を負わされ、出口付近で倒れている仲間のマンボーの方に泳いで行った。
そして、光の文様からまた大量の光を放ち、その仲間を優しく包む。
しばらくすると、元気になったマンボーが光の中から出てきた。
「お前は本当のマンボーではないな」
ダンスフロアーで倒れている私の所にも来てくれた。そして、大量の光で包む。
(リリー?・・・)
回転する貝殻で負った傷口はゆっくりとふさがって行く。
「元の姿に戻るがよい」
強い光が瞬いた、と思ったら私はマンボーから元の体に戻っていた。
あれほど、戻ろうと思っても戻れなかった元の体にやっと戻ることができた。
(ヤッター、ありがとう。傷も治ったみたい・・・リリー?)
うれしくて手や足をやたらに動かしてしまう。
「リリーではない。我々は、過去の全てのマンボーの集合体。『集合』マンボーだ。」