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「流れの文様」

流れる紋様

[前回の続き]
過去の全てのマンボーの意識の集合体。それが光の遺伝子の正体のようだ。
遠い過去から現在に至るまでの間に生まれ、生きてきたマンボーたち。ほかの生き物に勝るような力もなく、知恵もない。まして、勇気もない。強い生き物たちにやられてゆくだけのマンボー。ただ、仲間を思う優しい気持ちがあった。その思いが、長い年月の間に、チリのようにつもり、いつしか光の遺伝子となり、仲間を守る強い光の力となったのだと言う。
それよりも、マンボーの変化体から元の体に戻った私はフック線長のことを思い出したのであった。

(そうだ!最高の秘宝が眠る中心海へ、線長について行かなくちゃいけなかったんだ!マンボーになっていて、ボーとしたまま、すっかり忘れていた!)
周りを見渡しても当然フック線長の姿はどこにもなかった。
そして、線長が今どこにいるかもまったく分からない。

(ど、どうしよう?)
海は広い。住所もない。あまりに漠然としすぎている。思わずうろたえてしまう。
だが、すぐにあることに気付いた。
(そういえば、線長は海岸線に沿って進んでいた。沖には出てないはずだ。何とかして海岸線まで戻れれば・・・)

私は居ても立ってもいられず、すぐに線長のところに向かおうとした。
「待て!」
リリーの体を借りた集合マンボーはそう言うと、急ぐ私を制した。

「我々の仲間を助けようとした礼をしたい。お前の右手を出せ」
そう言うと、差し出した私の右手に近寄ってきて、両目を大きく見開いてそれに焦点を合わせると、目からレーザー光を発した。

レーザー光を当てられた私の右手は、チクチクと電気が走るような痛みがした。
だが、徐々に私の右手に不思議な文様が浮かび上がってきた。

(この文様は一体?)
「これは、『流れの文様』といって、遠い過去から海の中を回遊してきた我々マンボーが編み出した潮の流れを捉える方法みたいなものだ。泳ぐときに使うと良い。そうすれば、わかる」

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