
[前回の続き]
「オッと、そうくると思った」
ボスはそう言うと、体を大きな貝殻の中に引っ込めて、自分の影を貝殻の中に隠してしまった。
ボスの隠れた貝殻の周りを大量の光が包むと、貝殻の中に入ってゆく。
だが、貝殻の中に隠れたボスは、さっきのように消滅しない。
貝殻の中からボスのくぐもった声が素数を数え続ける。
「37、41,43、外から見てわからんだろうが、この貝殻の中はオレよりも強い敵の侵入に備えて複雑な迷路になっている。この貝殻の中では、お前の光はオレの影を見つけることはできない。ハハハ」
「ううううっ」
みるみる集合マンボーの放つ光は色褪せてゆき、ついにその体は完全に光のフィルムとなって海中を漂った。
光が消えたのを確認したボスは、貝殻の中から出てきた。
そして、過去の全てのマンボーの意識の集合体、つまり光の遺伝子の情報である光のフィルムの端を大事そうに手に取ると、クルクルと丸め始めた。
丸められた光のフィルムは、次にボスの団子をこねるような手つきによって、ソフトボール大の光の玉になった。
「一つ目の光の遺伝子、ゲット!」
ボスは一仕事終えた充実感で満足そうな笑みを浮かべると、光の玉を貝殻の中にしまった。
そして、遠巻きに見守っていた、たくさんのマンボーたちに向かって言った。
「哀れなマンボーども、もうお前たちに未来はない。滅び行くのみだ。ハハハハハ」
ボスに光の遺伝子を奪われたマンボーたちは、もうただオロオロとして見てられない。
元の体に戻った私は、もうマンボーではないけれど、心の中で何かがメラメラと『燃える』のを感じるのだった。